水面に揺れる秘めごと(カリストー)
カリストーはアルカディア王リュカオーンの娘(又は、山のニンフとされる)。カリストーは処女の誓いをたてて、処女神である狩りの女神のアルテミスに仕えていた。主神ゼウスはこの美しい乙女に恋をしてしまったが、娘は男を寄せ付けなかったために、ゼウスはアルテミスに変身して娘に近づき、愛してしまった。やがてカリストーは自分のお腹が大きくなっていくのに気付いた。ある日、アルテミスやニンフ達が泉で水浴をすることになったが、カリストーは衣服を脱げなかった。みんなは不信に思い彼女を追求すると、妊娠していることが明らかになった。潔癖なアルテミスは男と関係をもった彼女を卑しみ、追放してしまった。カリストーはやがて男の子を生んだが、ゼウスの妃ヘラーがこれを知って怒り、アルテミスと組んで彼女を、牝熊に変えてしまった。生まれた子は、アルカスと名付けられ成長して狩人になったが、ある日森の中で大きな牝熊に出会い、それが母親であることも知らず、弓を引こうとした。天上からそれを見ていたゼウスは、悲惨な母子を哀れに思い天に上げて、大熊座(北斗七星)と小熊座(北極星)にしてやった。この作品は、処女の誓いを破ってしまった女の愛と、純潔に背いた心が水面に映って揺れるようなさまをイメージしています。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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