恋糸(アリアドネー)
アリアドネーはクレータのミノース王の娘。クレータ島にはミーノータウロスと言う、頭が牛で体は人間の狂暴な怪物がいた。そして、このいけにえとして毎年アテーナイから七人ずつの少年少女が送られていた。ある年、その中にアテーナイの王子テーセウスが加わっていたが、アリアドネーはその王子に恋をしてしまった。彼女はどうしても彼を救いたいと願い、一度入ったら二度と出ることのできない迷宮を造ったダイダロスに、脱出する方法を聞き出した。糸玉を作るとテーセウスに近づき、自分を妻にしてくれることを約束させて糸玉を渡した王子はそれを腰に結び迷宮に入ると、彼女は王子の無事を願いつつ糸を送り続けた。テーセウスは怪物を退治して戻ると、アリアドネーを伴ってクレータを脱出した。途中嵐に遭いある島に寄港したが、一夜明けるとテーセウスの乗った船は、彼女を置き去りにして出航してしまった。悲しみに暮れるアリアドネーであったが、後に酒神ディオニュソス(バッコス)に見初められて妻になった。一説ではディオニュソスが彼女に恋をして、故意にテーセウスから彼女を切り離してしまったとも言われている。この作品は、恋の為に全てを捧げる女ごころの一途な様を表現。又、中央の日本的な柄は、実は迷図のイメージがオーバーラップしている。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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