好奇心(パンドラー)
人間の庇護者であるティターン神族のプロメーテウスは、天上の火を盗み、初めて人間に火を与えた。主神ゼウスはこれを怨み、人間に復讐を計画した。鍛冶の神ヘーパイストスに命じて、泥で女を作らせ生命を吹き込み、神はそれぞれ贈り物を与えた。パンドラー(すべての贈り物を与えられた女の意)と名付けられ、彼女は人類最初の女となった。プロメーテウスは日頃から、弟のエピメーテウスに神々からの贈り物を決して受けてはならないと忠告していた。しかし、パンドラーが贈られると、一目見るなり、あまりの美しさに忠告を忘れ、妻に迎えてしまった。パンドラーはその折、神からの贈り物として、決して開けてはならないと言われている壺を持参していたが、彼女は好奇心にかられて蓋を開けてしまった。この中には、この世の全ての災いや、悪が閉じ込められていたが、たちまち外に飛び出してしまった。パンドラーはあわてて蓋をしたが、すでに遅く中には小さな希望だけが取り残されているだけだった。こうして人間は、様々な苦しみや、災難にあっても最後には希望だけは持つことができたのである。この作品は、抑えていた衝動に耐えきれず、とうとう好奇心に火がつき開けてしまった瞬間を表現しています。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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