逃避行(ヘレネーとパリス)
ゼウスが白鳥に身を変えて、スパルタの王妃レーダーと交わり、彼女は卵を産み、その卵から絶世の美女ヘレネーは生まれた。ミュケーナイ王アガメムノーンの弟メネラーオスの妻となったが、トロイアのパリスと不倫の駆け落ちをして、十年の長きに渡るトロイア戦争の原因を作った。最も美しい女神に与えられる黄金の林檎をめぐり、ゼウスの妃ヘーラー、戦の神処女神アテーナー、愛の女神アプロディーテーの三美神が競った。その審判をトロイアの王子パリスが命ぜられて、ヘーラーは全アジアの支配を、アテーナーは常の勝利を、アプロディーテーはこの世で一番の美女を妻に与えると、それぞれに約束したが、パリスはアプロディーテーに金の林檎を差し出した。後、パリスはトロイアの使節としてギリシアにおもむいた折、ヘレネーと出会い、二人は恋に落ち、人妻のヘレネーは夫と娘を捨て、スパルタから逃亡した。メネラーオスは激怒して、兄アガメムノーンの助力を得て、ギリシア全土から兵を募り、トロイアに遠征した。戦争は十年続いたが、木馬の計でギリシア側の勝利に終わり、ヘレネーは再びメネラーオスの許に戻り、ギリシアに帰った。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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