恋遊び(アプロディーテーとアレース) 初めてオリュンポスの神々の前に現れたとき、アプロディーテーの美しさに、神々は感嘆したが、一人ゼウスの妃ヘーラーは複雑な思いだった。夫がアプロディーテーに浮気心を持たないでもないと、早々に鍛冶の神ヘーパイストスと結婚させてしまった。しかし、彼は仕事熱心だが神々の中で最も醜く、恋多き愛と美の女神が満足するはずもなく、早速、単純で乱暴者の軍神アレースを恋人にした。夫の目を盗んでは不倫を繰り返していたが、おとなしく見て見ぬふりをしていたヘーパイストスも、耐えきれず、誰にも見えない網を作り、寝床に仕掛け、二人の浮気の現場を取り押さえた。見せしめに神々の前にさらすと、女神達は眉をひそめたが、男神達は特に避難するでもなく、逆にアプロディーテーとあんなことが出来るのなら、アレースの身代わりに成ってみたいものだと、うそぶく神さえ現れる始末。恥をかいたのはヘーパイストス、すごすごと仕事場に引き上げてしまった。恋多きアプロディーテーは、アレースだけではあきたらず、次々と神々や人間の美しい男達と恋をした。
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