牡羊座(3/21〜4/20)
〜浪の彼方に(プリクソスとヘレー)〜
さんかく座からやや南下に小さな三角を描いて見える牡羊座。この三角は羊の頭、他の細かい星々が、体の部分となります。約三千年前の古代では、春分点が牡羊座の中にあったため、春の訪れを知らせる星座とされておりました。又、黄道では第一の位置として数えられます。
牡羊は、大神ゼウスからネペレに与えられたものでした。ボイオティア王アタスマの妃となったネペレ。その息子としてプリクソスと娘ヘレの兄弟がおりました。ところがアタマス王はさらなる名誉を得るために、テーバイの初代王カドモスの娘イノを妃としたのです。ネペレは王のもとを去った後、子供達を殺そうとするイノの策略を知りました。子供達を助けたいという母ネペレの切なる願いから、大神ゼウスは金色の毛に身を包んだ牡羊を送ったのでした。ネペレは黒海の岸にあるコルキスへと逃げるよう、子供達を牡羊に委ねました。黄金の光を放ちながら、プリクソスとヘレを乗せた牡羊は天高く舞い上がり、目的の地へと急いだのです。ところがあまりにも速かったので妹のヘレは兄から手が離れ、途中海へと落としてしまいました。(ヨーロッパとアジアの境の辺りで、後にヘレの名をとりヘレスポントス海峡と名を付けられました。)黄金の牡羊は目的のコルキスへと向かうばかりで、プリクソスはヘレを助けることが出来ぬまま、コルキスにたどり着いたのでした。国王アイエテスからあたたかく迎え入れられました。プリクソスは救われた感謝の意を大神ゼウスには牡羊をいけにえとして、アイエテス王には金の羊皮が天に上がり、牡羊座となったのです。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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