牡牛座(4/21〜5/20)
〜異郷にやすらう(ゼウスとエウローペー)〜
冬1,2月頃の南の星座は、オリオン座を筆頭にそれは見事なものであり、寒く澄み切った空気が、より一層星の輝きを引き立てます。その数多くの星の中でもオリオン座の上にある牡牛座は、プレアデス(すばる)とヒアデスの二大星団、そしてかに星雲から成り立ち、目を引く星座です。その牡牛座にまつわる神話は、大神ゼウスがある少女に恋をしたことから始まります。
フェニキアの王女エウロペはまだあどけなさの残る少女でありました。この愛らしい王女に恋をした大神ゼウスは、妻ヘラの目を忍ぶため、白い牛に姿を変えて浜辺で友達と遊ぶエウロペの前に姿を現したのです。これまでに見たことのない白く美しい牛に気付いたエウロペがそのそばへ近づいていくと、牛は静かに腰をおろしました。それがまるで「私にお乗りなさい」と言われたかのように思えたエウロペは、そっと背にまたがってみました。エウロペを乗せた白牛は突然立ち上がるとそのまま海へ入り、陸地を後にどんどん泳いで行きました。驚くエウロペをよそに、たどり着いたクレタ島で大神ゼウスは姿を戻し、愛しいエウロペを我が妻としたのです。そしてゼウスはエウロペの名にちなんでヨーロッパとして、大陸にその名を残したのです。つまり星座の絵図にある牡牛は、恋する大神ゼウスの化身なのです。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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