蟹座（6/22〜7/22）
〜泉洞の炎（ヘーラクレース）〜
蟹座は、春の南の夜空で獅子座と双子座の間に位置する星座です。星座の絵図では、Yの字に星が並んでいるためか、エビを思わせるような姿で描かれます。目立った光りを放つ星ではありませんが、春先から七月初旬頃まで太陽が位置し、海の上でも天気を占うときなどに見る星座であったことなどから、大切な存在といえるのです。神話の中ではレルネの谷に住む大蟹で、勇者ヘラクレスに挑むという無謀な行動が女神に称えられて星座となったのです。
ヘラクレスが命じられた十二の仕事の二番目に九つの頭を持つ巨大な水蛇ヒュドラとの戦いがありました。ヒュドラは怪物テュポンの子であり、中央にある首は不死で他の頭は切り落としても２つ生えてくるので、きりがありません。又、ヒュドラの持つ毒はそのまわりの空気をも濁らせ、直接ふれずとも死に至らせてしまうほどの恐ろしいものでした。さすがのヘラクレスも力だけでは勝てまいと、切り落とした首の根元に松明の火をあてて焼き付けるという策をとり、不死の首を倒すのに至ったのです。この勇ましい若者に、自分のハサミで太刀打ち出来ると思ったのか、大蟹は仲間の加勢の為にヘラクレスの足元を切りつけたまでは良かったが、次の瞬間哀れにも踏みつぶされてしまうのでした。ゼウスの愛人の子としてヘラクレスに憎しみを抱く女神ヘラに、立ち向かっていったその意気込みを称えられ、星座のなかにおかれたのでした。

Copyright 1999 Masasuke Chiba