山羊座(12/22〜1/20)
〜牧神の詩(パーン)〜
秋から初冬にかけて南の空に見える山羊座は、逆三角形を形づくる星々なのですが、その絵図は半身山羊、半身魚という姿で描かれております。これは、森や羊、羊飼いの守り神でもあるパンなのですが、本来は山羊の角を持ち、とがった耳に毛に覆われた体といった風貌なのです。ただあわて者であったがために、このような姿で星々の中におかれることになってしまいました。
昼間は山の洞穴で過ごし、日が暮れる頃出てきたかと思うとニンフや他の羊飼い達と森の中を遊び回るといったように、いたってのんきに暮らしておりました。ある日ナイル川のほとりで神々達の宴が開かれ、にぎやかに盛り上がる中、パンも葦で作られたシュリンクスの笛を吹き、楽しいひとときを過ごしておりました。そこに突然巨大な怪物テュポンが現れたのです。テュポンはただ酒盛りの仲間にして欲しかっただけなのですが、そんなことを知る由もなく神々は逃げまどうのでした。パンはナイル川を泳いで逃げようと飛び込んだまではよかったのですが、あせったがために上半身は山羊のまま変わらず、下半身のみ魚の尾というおかしな姿のままに逃げたのです。大神ゼウスはこれは珍しい生き物に変身したものだと感心してそのままの姿を山羊座として星座のなかにおいたのでした。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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