魚座(2/19〜3/20)
〜川面のささやき(アプロディーテーとエロース)〜
秋から冬にかけて東南の空に見える魚座は、目立った光りを放つ星ではありませんが、イエス・キリスト誕生のとき太陽が魚座の星の間にあったことから、キリスト信者にとってはあがめるに値する存在でした。星座の絵図ではひもでつながれた二匹の魚が描かれていますが、これは山羊座のパンと同様、ナイル川へ逃げるために魚となった愛と美の女神アプロディーテーとその息子エロースの化身なのです。
ナイル川のほとりで酒を飲み、楽しげに話をする神々の声に引きつけられたのか、怪物テュポンが現れました。巨大なその姿は神々にすら恐怖を感じさせるものでした。蠢く竜の頭は百もあり、獣のような荒々しい鳴き声と共に黒ずんだ舌の見え隠れする口から、そして目からも炎を吹き、巨体をうねらして暴れまわる。なんとも乱暴な飛び入りに慌てた神々は、素早く走るもの、泳ぐもの、飛ぶものとそれぞれに姿を変えてその場を離れたのでした。その中にいたアプロディーテーとエロースは共に魚に身を変え、川に飛び込んで逃げました。そのことから、天におかれた二匹の魚は「アプロディーテーとエロース」とも呼ばれる星座なのです。
Copyright 1999 Masasuke Chiba
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