春の誓い(ゼウス&ヘーラー) 父であり、暴君のクロノス率いるティーターン神族を倒し、新しい支配者となった若きゼウスは、姉のヘーラーを正室と定め、カッコーに身を変え嵐の中をヘーラーの元へ飛んだ。心根の優しい麗しのヘーラーは雨に打たれ寒さに震えるカッコーを柔らかく包み込み暖かく胸に抱いて二人は結ばれた。 この聖なる結婚を神々や生きるもの全ては祝福した。春の光の中、永遠を誓えば黄金の雲はたなびき、カリテス(優雅の女神たちは輝きの両神を七色の虹にいざない、ムーサたち(芸術の女神たち)の奏でる雅の調べは世界の隅々までこだまし、ホーライ(季節の女神たち)は色とりどりの花を咲かせれば、森や泉のニンフたちは喜びを舞い、饗宴はいつ果てるともなく続いた。両神は天界と人間の世を治めるべく、オリュムポスの宮の最高位の玉座に上がった。作品の絢爛な日本的桜の花は、ギリシャではアーモンドの花がその姿に似ているといわれている。
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