梢に祈る(アポローン&ダプネー)
レートーは出産で難儀した上、更に大蛇ピュートーンに追い廻されておりました。アポローンは母を付け狙う巨大なピュートーンに矢を浴びせ、退治しました。それはアポローンの最初の武勇でしたので大変な自慢でした。ある時恋の神エロースをつかまえて「おい、いたずら小僧そんな小さなおもちゃの弓矢では、どんな獲物もとれないだろう。」とからうと、エロースは怒って「あなたは素晴らしい弓矢の腕前で、大蛇を倒し得意でしょうが、ぼくの矢はもっと意外なものを射ることが出来るのですよ」と言って飛び去り、やおら金の矢を取り出すとアポローンの胸を射ったのです。この矢を受けると最初に会った人を好きになってしまいます。そして最初に会った人を嫌いになる鉛の矢を、ニンフのダプネーに射ったのでした。ダプネーはペーネイオス河神の娘で、年頃となり父親は早く娘を結婚させたいと思っておりましたが、ダプネーはアルテミスさまを崇拝し、男には見向きもせず狩りをする毎日でした。そんな娘にエロースは鉛の矢を射ったのです。金の矢を受けたアポローンが最初に目にしましたのがそのダプネーだったのです。たちまち恋に落ちてしまい娘に近づくと、彼女はアポローンを見るなり逃げ出したのです。「おお娘よ恐がることはない、私は大神ゼウスの息子のアポローンだよ」アポローンが追います。娘はさらに恐れをつのらせ必死で河神の父に祈ったのです。「どうかこの人のものになりませんように。」するとダプネーの足は大地に根を張り、一本の月桂樹と化していたのです。アポローンは変わり果てた姿を抱きしめておっしゃいました。「せめてこれからは私の髪を飾り、いつまでも側にいておくれ」そして競技や芸術の勝者には栄誉として、月桂樹の冠を与えるようになったのです。
ルネッサンスの作品など西洋絵画や芸術では、有名な場面で数多くテーマに取り上げられいますが、千葉作品の中でも群を抜く美しい作品といえます。
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2000 Masasuke Chiba
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