花弁は眠り(ヒュアキントス)
アポローンさまは美しい少年たちも愛されました。特にスパルタのヒュアキントスはアポローンさまの寵愛を一身に受けておりました。
今日もお二人は明るい陽ざしの中で、円盤投げを楽しんでおりましたが、常日頃からヒュアキントスに想いを寄せておりました西風の神 ゼピロスが嫉妬心から風を送りますと、アポローンさまの投げた円盤が急に向きを変えてヒュアキントスの額に命中してしまったのです。アポローンさまは驚いて駆け寄りましたが、割られた額からは止めどなく血潮が噴き出て、医術の神アポローンさまにも手のほどこしようがございませんでした。息絶えた最愛の少年をかき抱き、嘆き悲しまれ涙にくれたのでございます。ヒュアキントスの血は大地を朱に染め、アポローンさまの涙がそれに滲み込みますと、そこから小さい百合のような花が咲き、花びらにはアポローンさまの嘆きの言葉AI・AIの文字が刻まれました。そしてその花の名をヒアシンスとしたのでございます。作品は、美少年が花の化身となり、天に昇るようなイメージがヒアシンスの姿とオーバーラップし美しく表現されています。
Copyright
2000 Masasuke Chiba
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