光・響・時
「光」 緑の園(ヘーラー、ホーライ)
地上に君臨する女神レアと、クロノスとの間に生まれたヘーラー。レアは子供たちを食べてしまう恐ろしい夫クロノスからヘーラーを守る為、ギリシャより遠く離れたヘスペリアへ、三姉妹の季節の女神ホーライたちに愛娘を託しました。ホーライたちの豊かな愛情に育まれ、緑の園で無邪気に遊ぶ、まだ可憐な少女の頃のヘーラー。やがて聡明で美しい女神に成長すると、ギリシャにいる母神レアに別れを告げて天界に上り、大神ゼウスの花嫁となるのです。
「響」 第三の難業(ヘーラクレース)
ここで、アルテミス様の聖なる鹿にまつわる話しを少しいたしましょう。ギリシア随一の英雄ヘーラクレースは、ヘーラーさまに憎まれ、生涯苦難の連続でございました。彼は愚鈍な君主エウリュステウスに仕え、十二の難業を命ぜられたのですが、その三番目の仕事が、アルテミスさまの金の角を持つ聖なる鹿を生捕りにすることでした。この鹿はアルテミスさまの車を引く、四頭のうちの一頭で、殺してはならず、傷つけてもいけませんでしたので、一年の間我慢強く鹿を追いました。 さすがの鹿も疲れ、ほとりで休んでいるところを取り押さえられました。鹿を担ぎアルゴスの城に向かう途中でアルテミスさまがアポローンさまを伴って現れたのです。自分の鹿を殺そうとしたと責め立て、奪い返そうとされましたが、ヘーラクレースはこれも君主の命令によるやむを得ない行為であると弁明しました。アポローンさまの取り成しもあり、アルテミスさまも怒りを鎮め許されましたので、ヘーラクレースは王にその鹿を見せてから、無傷のまま野に放してやったのでございます。
「時」 山野を駆け(アタランテー、メレアグロス)
最初に猪の背に矢を射ったのはアタランテーで、とどめを刺したのはカリュドーン王オイネウスの息子メレアグロスでしたが、猪を射止めたとしてアタランテーに褒美を与えるようメレアグロスは進言した。ところがそれに対して彼の伯父たちが不平をもらしたことで憤慨し、いさかいとなってしまう。後に、このいさかいは母アルタイアーの怒りをかうまでに至ってしまいますが、それはアタランテーに対するメレアグロスの恋心から引き起こされたものだったのです。
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2001 Masasuke Chiba
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