【レートー】
ティターン神族のコイオスとポイベーの娘。神々の中でも最も優しく、つつしみ深い女神さまでしたので、大神ゼウスさまは恋をされ、そしてこの麗しい女神さまから、最も勝れた子供をと望まれて愛を交わされたのでございます。やがてレートーさまは身籠もりましたが、ゼウスさまの妃ヘーラーさまは大変嫉妬深いお方で、レートーさまの出産を知ると、地上の太陽の光を受けたいかなる場でもお産が出来ないように、世界の国々に命じました。レートーさまは身重の体で各地をさまよい、お産の場所を探しましたが、ヘーラーさまの仕返しを恐れて何処でも場所を貸してくれませんでした。唯一忽然と海中から島が浮き上がり、今まで一度も太陽の光を受けたことのないこのデーロス島が、出産の場所を提供したので、やっとレートーさまは安息の地を得たのでございます。お生まれになったのはそれはそれは玉のような光り輝くばかりの双子のアポローンさまとアルテミスさまでございました。