【アプロディーテー】
愛と美の女神、英語名はヴィーナスである。息子のエロース(キューピット)を従えて、男女の性愛を司る。又、生産・豊穣・航海の護り神でもある。聖花は、ばら・ケシの花。聖鳥は、鳩・白鳥。三美神として、パリスの審判においては、世界一の美女を与えることを約束し、金のリンゴを得て「最も美しい女神」に選ばれた。
<パリスの審判>
ゼウスが寵愛する娘のテティスとペレウスの結婚式に、唯一人招かれなかった「争いの女神エリス」は、これに腹を立て、何かいざこざを起こしてやろうと考え、黄金のリンゴを手に入れ、それに「最も美しい女神に」と記して、結婚式の会場に投げ込んだ。女神達は、みな内心では自分が一番美しいと思っていたが、なかでもヘーラー・アテーナー・アプロディーテーの三人は特別で、それは自分のものだといって、断固として譲らなかった。ゼウスは立場上、自分が判定者になるのはまずかったので、イデ山にいるパリスを指名した。三人の女神は、パリスを買収するために、すぐにイデ山に飛んでいった。パリスは突然のことで狼狽した。が、ヘーラーは気にせず、もしも自分を一番美しいと認めたら、全人類の支配者にしてやろうと申し出た。すると、アテーナーは戦争における勝利を約束した。アプロディーテーはただ、世界で一番美しい女性ヘレネーを与えようと言った。そしてこの問題に、パリスは迷わずアプロディーテーを選んだのである。